設立20周年を迎えるLaunchが、新CEO Sarah Kielyと目指す未来。ギークスグループと共に切り拓くIT人材事業のこれから
ギークスグループの海外拠点として、オーストラリアのIT人材市場を牽引する「Launch Group Holdings Pty Ltd(以下、ローンチ)」。設立から20周年の節目を迎えた2026年、新たなCEOとしてSarah Kiely(サラ・カイリー)氏が就任しました。
今回は、ローンチのビジネスモデルや最新の市場動向、ボランティア警察官という異色のバックグラウンドを持つSarahさんの歩み、そしてテクノロジーと人を融合させたビジョンなど、お話を伺いました。
設立20周年。オーストラリアのIT人材市場を牽引する「ローンチ」の今
ーまずはじめに、ローンチのビジネスモデルと事業の強みについて教えてください。
日本の皆さまに、ローンチのことを深く知っていただける機会をいただけたことを、とても嬉しく思います。
私たちはオーストラリアを中心に、IT人材の派遣や紹介などの人材ソリューション事業を展開しています。2006年の設立以来、IT、テクノロジーおよび電気通信分野の採用のプロフェッショナルとして、成長を遂げてきました。
私たちの最大の強みは、20年間かけて培ってきた主要顧客との深い信頼関係と、オーストラリアのIT人材サービスにおける先駆者としての確かな実績です。ギークスの決算資料にもあるように、私たちの顧客の約50%以上が5年以上の継続取引となっており、世界的な大手企業から政府機関まで、長年にわたり強固なパートナーシップを築いています。単にIT人材を補填するだけでなく、顧客のワークフォース・プランニング(人員計画や要員戦略)の段階から伴走し、ビジネスの成長を支援してきました。
ー日本にいるとなかなかオーストラリア市場の動向が見えづらいところがあります。現在の市場状況等について教えてください。
オーストラリア市場は、全体として回復の兆しを見せつつありますが、世界的な地政学リスクなどの外部要因もあり、市場には一定の慎重姿勢が見られます。
正社員(パーマネント)の採用に関しては慎重になっている企業が多い一方で、契約社員や派遣人材(コントラクト)に対するニーズは依然として非常に高い水準を維持しています。特に、法的規制やコンプライアンスへの対応、あるいは将来の成長に向けた「戦略的イニシアチブ」を推進する重要領域に対して、企業は重点的な投資を続けています。
また、AIの台頭も市場に大きな変化をもたらしています。特にソフトウェアの開発分野において、要求されるスキルが急速に変化しており、企業の採用における意思決定や派遣・業務委託といった採用手法に焦点を当てる動きへ影響を与えています。
オーストラリアでは現在、AIの使用に関する規制やガバナンスの整備が急速に進んでいます。こうした適切なルールが確立されることで企業の不確実性が解消され、今後はAIを活用した新規プロジェクトの推進や、それに伴う新たな人材ニーズという大きな「成長の機会」が創出されていくと捉えています。
ーローンチ社内でもAI活用は進められているのでしょうか。
はい、取り組んでいます。私たちはテストと検証を重ねながら、AIを導入するアジャイルな手法を採用しており、一貫性のあるアプローチで業務改善を推進しています。採用活動は人間関係(信頼関係)の上に成り立っているため、その関係性に悪影響を与えることなく、AIがコンサルタントの業務を補完し、その能力を引き出す形になるように、細心の注意を払っています。
ボランティア警察官という過去も持つ、CEO Sarah Kielyのキャリア

ーここからはSarahさんご自身についてお伺いします。2026年1月にCEOに就任されましたが、これまでのキャリアや、人材業界を目指されたきっかけについて教えてください。
大学卒業後、人材コンサルタントとして、イギリスでキャリアをスタートしたのですが、当時はもう一つ別の「顔」を持っていて、それが「ボランティア警察官」としての活動でした。昼間は人材コンサルタント、夜や休日は警察官として2年間ほど活動していました。
将来的に警察官としてフルタイムで働くか、人材業界に身を置くかで本気で悩んでいた時期があったのですが、「企業と人とを繋ぎ、キャリアを支える仕事が好き」だと確認し、人材業界でキャリアを積み上げていくことを決意しました。
ーボランティア警察官というバックグラウンドはとてもユニークですね!その後、イギリスからオーストラリアへ渡ってきたのですね。
イギリスで採用プロセス・アウトソーシング(RPO)の領域を経験した後、約16年前にオーストラリアへ移住し、大手人材会社のHaysで14年間勤務し、ローンチに入社しました。
Haysでは、RPO事業の立ち上げや運用の統括、ニュージーランドでのオフショアモデルの構築、さらにはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を用いた業務プロセスの自動化・標準化など、オペレーション構築や組織改革に深く携わってきました。現場の営業活動から巨大な運用の自動化まで、実務と戦略の両面を経験してきたことが、私のキャリアの大きな根幹になっています。
ーまさにオペレーションと組織改革のプロフェッショナルですね。CEOに就任されてからの数ヶ月間、特に注力してきた取り組みについても教えてください。
まず最初に注力したのは、ローンチという組織を深く理解すること、そして「お客様が真に求めているものは何か」を直接把握することでした。私たちが「必要だろう」と思い込んだソリューションを提供するのではなく、実際にお客様のもとへ足を運び、課題や要望に耳を傾けることに多くの時間を割きました。
社内の仕組みづくりとしては、セールスとマーケティングチームの連携強化(Sales Enablement)に重点を置いています。具体的にはCRMを導入・再構築し、営業活動のプロセスをデータに基づいて効率化・可視化する取り組みを進めてきました。
また、組織カルチャーの面では、メンバー全員が自らアイデアを提案し、失敗を恐れずに挑戦できる「エンパワーメントカルチャー」の醸成を目指しています。「過去にこうやってきたから」という理由だけで従来の方法に固執するのではなく、時代に合わせて自らをアップデートし、果敢にチャレンジすることを称える風土を、チームと共に作っているところです。
人とテクノロジーで未来を創る

ー市場の変化やAIの台頭を踏まえ、今後ローンチをどのような組織・事業へ成長させていきたいですか?
ローンチが目指す未来は、単に「人材と企業をマッチングさせる」という従来型の人材サービスにとどまりません。テクノロジーやAIを積極的に取り入れて業務の効率性と生産性を高めつつ、人間ならではの温かみや柔軟性、専門性を組み合わせた「最適なワークフォース・ソリューション」をお客様に提供していきたいと考えています。
これまでの20年の歩みにおける信頼と実績は前提ではありますが、先ほども申し上げたように、「過去にやってきたから」という理由だけで以前のやり方に固執するのではなく、変化する顧客ニーズや時代の進化に合わせて、私たちが挑戦し、アップデートし続けること、そして、人とテクノロジーの双方の強みを融合させることで、オーストラリア市場における信頼と存在感をさらに高めていきます。
ー最後に、日本のギークスグループのメンバーへメッセージをお願いします。
日本の皆さんとギークスグループという一つの大きなファミリーとして繋がれていることを、とても心強く思っています。国境や言語の違いを超えて、私たちが持つ知見やベストプラクティスを共有し合い、より強力なグループシナジーを生み出していきたいと考えています。
創業20年という節目を迎え、ローンチは今、新たな成長フェーズへと足を踏み出しています。挑戦を恐れず、未来に向けて歩みを進める私たちのこれからの変化と躍進に、ぜひご期待ください!
ー貴重なお話を伺うことができました。ありがとうございました!